好きな事を仕事にしたら、8ヶ月で嫌いになった話
17年勤めた会社をリストラされ、次に入った会計事務所も半年で退職。
長年、事務員として働いてきた私。
ここで、なぜか思った。
「今までとは違う仕事をしてみたい」
もともと料理をするのが好きだった。
将来的には、自分のお店を持てたらいいな、なんて夢もあった。
だったら調理師免許を取ろう。
そう考えて、飲食店の正社員になった。
このときはまだ、好きなことを仕事にできるなんて素敵じゃないかと思っていた。
甘かった。
週休2日制とは、何だったのか。
入社前に聞いていたのは、週休2日制。
ところが実際は、14日連勤なんてザラ。
12時間働いても休憩なし。
週休2日制とは、一体何だったのだろう。
もしかして、月に2日休めるという意味だったのか。
そんなわけあるか。
それでも、料理の仕事自体は嫌いじゃなかった。
問題は、別のところにあった。
味噌汁のネギ、一粒事件。
飲食店には、いろんなお客さんが来る。
もちろん、いいお客さんもいる。
でも、世の中には想像を超える人もいる。
ある日、男性客が突然怒鳴り始めた。
「ネギ抜きって言うたやろが!」
味噌汁にネギが一粒入っていたらしい。
そこから延々と続くお説教。
しまいには、
「本社にクレーム入れるぞ!」
とまで言い出した。
結局、本社へのクレームはなかった。
ところが後から、別のお客さんに驚くような話を聞いた。
その男性客、自分の味噌汁はちゃんとネギ抜きで提供されていたのに、奥さんの味噌汁からわざわざネギを一粒取り出して、自分の味噌汁に入れていたというのだ。
……は?
自分で入れたんかーーーい!!
もちろん、私はその瞬間を直接見たわけではない。
でも、もし本当なら、何がしたかったのだろう。
今ならカスタマーハラスメントという言葉がある。
当時の私には、ただひたすら耐えるしかなかった。
料理を作るのは好きだった。
でも、こういうお客さんの相手をするのは、どうにも無理だった。
8ヶ月でギブアップ。
14日連勤も、12時間休憩なしも、しんどかった。
でも、私が辞めた一番の理由は、クレーマーの多さだった。
料理を作ることは好きだったのに、お客さんへの対応でどんどん疲れていった。
そして、8ヶ月で退職。
調理師免許を取るという目標も、達成できないまま終わった。
好きなことを仕事にすると、嫌いになる。
そんな言葉を、身をもって実感した8ヶ月だった。
ちなみに、料理は今でも好きだ。
嫌いになったのは、料理そのものではなく、あの働き方だったのかもしれない。
こうして私の異業種チャレンジは終了。
残ったのは、またひとつ増えた職歴と、なかなか濃い人生経験。
キラキラした成功談は、今回も品切れです。

